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2010年4月14日 (水)

共同正犯

「安心・安全は・・・」

共同正犯  

 理由

 共同正犯[編集] 日本の刑法は、その60条で共同正犯を規定する。 (共同正犯) 第六十条  二人以上共同して犯罪を実行した者は、すべて正犯とする。 共同正犯の効果

 共同正犯は、「すべて正犯」とされ、自ら実行しなかった行為から生じた結果についても刑事責任を負う(同条)。たとえばAとBが結託して共に拳銃を使用してCを殺害した場合、Aの発射した弾丸が命中せず、Bの発射した弾丸でCが死亡した場合であってもAは正犯としての罪責を負う。この共同正犯の効果を一部実行・全部責任の原則という。

 一部実行・全部責任の原則が認められる根拠は、有力学説によれば、特定の犯罪実現 に向けての相互利用補充関係があるためとされる。すなわち、二人以上の者が、共同実行の意思に支えられ、特定の犯罪実現に向けて共同するという相互利用補充関係によって法益侵害の危険性が増大した点が、全部責任を負わすに値すると評価されるためとされる。

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2010年4月11日 (日)

強制執行妨害罪

「安全・安心」

3 強制執行妨害罪(96条の2)

(強制執行妨害)

 96条の2 強制執行を免れる目的で,財産を隠匿し,損壊し,若しくは仮装譲渡し,又は仮装の債務を負担した者

               ↓

        2年以下の懲役又は50万円以下の罰金

意 義

 「強制執行妨害罪」は,「強制執行を免れる目的で,財産を隠匿・損壊・仮装譲渡し,または,仮装の債務を負担する」という犯罪です。

保護法益

 本罪は,強制執行の適正な遂行を担保するものではありますが,強制執行は債権の実行のための手段ですから,結局,債権者の債権保護を主眼とする規定と解すべきです(最判昭35・6・24)。

 すなわち,第1次的に債権者の保護を図りつつ,第2次的に国家の作用としての強制執行の適正な運用を考慮する罪であるといえます

   ※ 反対に,第1次的に強制執行の適正な運用を図りつつ,第2次的に債権者保護を考慮する罪であるとする見解もありますこの対立は,本条の「強制執行」の範囲などに関係するものとされます

     (1) 主 体

 「債務者」が本罪の主体となるのは当然ですが,文理上これにかぎられてはいないので,「第三者」が債務者の利益のために係争物を隠匿等した場合にも本罪が成立すると解すべきです(大判昭18・5・8,)。

     (2) 客 体

 本罪の客体は,「財産」です。

 ここにいう「財産」とは,強制執行の対象となりうべき動産・不動産・債権をいいます。

     (3) 行 為

 本条の行為は,財産を「隠匿」・「損壊」・「仮装譲渡」すること,または,「仮装の債務を負担」することです。

隠 匿

 「隠匿」とは,財産の発見を不能または著しく困難にすることです。

 財産の所有関係を不明にする場合を含むと解されます。したがって,仮装の競売手続によって,債務者の所有物件が仮装の競落人の所有に帰したかのように偽る場合も,これにあたります(最決昭39・3・31)。

損 壊

 「損壊」とは,財産を破壊し,または,その価値を減少・滅失させることをいいます。

仮装譲渡

 「仮装譲渡」とは,真実譲渡する意思がないのに相手方と通謀して譲渡したようにみせかけ,財産の所有名義を変更することをいいます。

 真実譲渡する意思をもって譲渡した場合は,たとえ強制執行を免れる目的で,債権者に不利益を来しても,「仮装譲渡」にはあたりません(大阪高判昭32・12・18)。

   ※ このような場合にも処罰しうるよう法改正が検討されています。

仮装債務負担

 「仮装の債務を負担」するとは,存在しない債務を負担したように装うことです。

 たとえば,強制執行の際に仮装の債権者に配当要求をさせて,正当な債権者への配当を少なくするような場合です。

   ※ 本罪は,強制執行を免れる目的で上記の行為をすれば,直ちに成立します(抽象的危険犯)。強制執行が行われたかどうかは問いません(最決昭35・4・28)  。

     (4) 目 的

 本罪の主観的要素としては,故意(財産を隠匿・損壊・仮装譲渡し,または,仮装の債務を負担することの認識(・認容))のほか,「強制執行を免れる目的」を要します(目的犯)。

強制執行

 「強制執行」とは,本罪が債権者保護を主眼とする規定であることにかんがみ,民事執行法による強制執行,または,同法を準用する強制執行をさすものと解されます(多数説)。

   ※ 本罪を強制執行の適正な運用を主眼とするものとみる見解からは,一般に,罰金・科料など公法上の強制執行も含むとされます(団藤・大塚)。

 国税徴収法にもとづく滞納処分たる差押えも含まれません(最決昭29・4・28)。

免れる

 「強制執行を免れる」とは,強制執行をしてもその効果があがらないようにすることです。

   ※ 本罪が成立するには,「強制執行を免れる目的」が要件となるので,現実に強制執行を受けるおそれのある状態にあることが必要となります。債務名義(債権者の給付請求権の存在を公証する文書(民執法22条))があるか,訴訟が係属中か,訴えが提起されているかなどは問いません。

     ただし,債務名義もなく,単に債権者が履行請求の訴訟を提起したにすぎないような場合は,刑事訴訟の審理過程において「債権の存在」が肯定されなければならないと解すべきです。これが否定されたときは保護法益が存在しないものとして本罪の成立は否定されます(最判昭35・6・24,)。

     これに対して,行為時に「債権の存在の可能性」があれば足りるとする見解も有力です)。しかし,債権者の存在しない場合に本罪が成立すると解するのは本条の趣旨に反します。債権の存在を必要とする判例の立場が妥当です。

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